研究概要 |
平成21年度は,平成17年度から本学主体で開講している「座の文芸と美術」で実施してきた俳句や連句の歴史や文学的な位置づけも踏まえ,連句(俳句含む)の調査分析を継続して行った。その一環として,書籍『おくのほそ道-芭蕉が歩いた北陸』を発刊した。また,美術作品における展示会では,立体的な連句パネル(半歌仙:18枚)も制作し展示した。平成21年度は,主として3DCGアニメーションを作成し発表する予定であったが,3DCGアニメーションにおいても具象絵画的な表現でなく,抽象絵画的なアニメーションまで一部手掛けることができた。その抽象絵画的な表現により,より一層句と絵画のコラボレーションによる面白さを発見出き、より良い表現方法を目指せたと思う。 また,これらの研究・制作の発表・投稿に関しては,コンテスト等も含め6回程度の投稿・発表の機会を得た。また,海外関係の発表は,1つは日本での開催であったが,2回発表を実施した。その中でも特に抽象絵画的な表現を外国人に理解してもらうことは,日本の文芸と抽象ということから概念把握の難しさもあったが,アニメーションの評判は良かった。特に古典的な内容に関しては,外国の文化・慣習とどのように接点を持ち理解してもらうかが,継続した課題と言える。 また,新しい試みとしては,携帯端末を活用した俳句・連句のインフラの整備に取り組もうとした。現在,携帯電話は,電話としての機能よりもノートパソコンの小型版として携帯情報端末としての役割を果たし,今後移動端末をもって,俳句や連句を詠んだりする方向も研究の視野に入れていきたいと思う。 なお,今年度も継続して授業などの実施に関しては,平成21年8月1日・2日において,金沢学院大学文学部公開講座「座の文芸と美術-"歌仙を巻く"-」を開催した。市民参加型の「連句の会」であり,公開講座として行ない地域との振興的な側面からも好評であり,今年度も継続していきたい。
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