学習者の体の血液の流れを赤外線により観測し、得られたデータを処理する過程を通じて情報処理の基本を学ぶ教材システムの開発を行い、その教材システムを実践で検証することを目的とする。 該当年度の研究実施計画に沿い基本システムの開発を行った。基本システムは検出部とデータ処理部から構成される。検出部は赤外線とフォトトランジスタの組み合わせを用いて、データ処理部で指先の血液の流れを表示・観測する装置を作成した。コンピュータと組み合わせることで、リアルタイムで表示する基本システムを作成した。 観察装置は散乱光強度の数値データをシリアルデータの形で経時的に出力する。学習者に提供するデータ提示法として、該当年度ではリアルタイム表示には心臓の拍動などと連動して波形を表示する手法をとった。そのため、ExcelとVisual Basic for Applicationsの組み合わせによるソフトウェアと.NET Frameで作動するソフトウェアを作成した。 作成したシステムのExcelでの波形表示法を用いて、小学校での「動物のからだ」単元での実践を行った。血液の果たす役割として呼吸と肺、食物と栄養、全身をめぐる血液の講義の後、希望する複数の児童を被験者に本システムを適用実践した。装置のトラブルもなく、非侵襲的に実施ができた。実践後のアンケート調査により、児童は指先での血液の流れの存在を実感し、やや抽象的な表示法である波形表示も十分実感が可能である結果を得た。
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