研究概要 |
まず,修得対象である戦術スキルを明示的に表現する必要があるため,データマイニング技術によって試合データベースから戦術を抽出する手法を試みてきた.しかし,この手法ではノイズが抽出される問題があった.そこで本研究では,ベイジアンネットワーク技術により,成功率の高い戦術のみを確実に抽出する手法を開発した.本手法は,攻防プロセスを確率モデルで表現することで,技の成功と因果関係の強いプロセスを戦術として抽出するものである.なお,武道競技として空手道を選んだ. 次に,CG選手とのインタラクティブな戦術練習を可能とするバーチャル空手システムを開発し,これを用いてスキル習熟とメタ認知との関係性を調べた.この結果,これまでのダーツやボウリングを対象としたスキル習熟に関する関連研究で得られている知見と同様に,対人競技の空手道においても,メタ認知による身体への気づきの増加と,スキル習熟との間に密接な関係があることが確かめられた. メタ認知を促進する支援機能として,練習者への映像フィードバックに注目した.映像フィードバックは,体育学などの研究分野でスキル習熟に一定の効果を持つことが知られている.そこで本研究では,練習者に加速度センサを装着させることで,練習者が繰り出す技をバーチャル空手システムが自動認識し,これに応じて技の状況を撮影した映像を即時フィードバックする機能を開発した.この効果を検証するため,フィードバックを用いた練習の結果と,フィードバックを行わなかった練習の結果とを比較し,技の映像フィードバックがメタ認知を促進しスキル修得に効果を持つことが確認できた.
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