薬学教育において、学生が患者に高品質の薬学的管理を提供するための能力を身につけることは、非常に重要である。わが国では、薬学部での教育が薬学中心の講義から臨床を志向した患者の薬学的管理学を中心としたカリキュラムへと変更された。しかし、そのような臨床薬学教育は未だ開発途上にある。我々は、既に薬学学生を対象とした模擬患者を活用したロールプレーイングで問題解決型学習(PBL)を導入した。さらに、PBL型のコミュニケーション演習がコミュニケーション技術の獲得を援助する傾向がることを明らかにした。本取組において、我々はe-ラーニングコンテンツを管理するLearning Management System(LMS)を就実大学薬学部の実務実習事前学習に導入した。我々が導入したLMS は、(1)e-ラーニングコンテンツの管理、(2)コミュニケーション機能および(3)満足度などを調査するアセスメント機能の3つの機能を有する。我々は、実務実習事前学習においてLMS上にて提供する処方箋のコンテンツを開発して、学生の処方解析演習に用いた。学生は処方に関するSmall Group Discussion(SGD)において処方箋の意図についての討議を行い、SGDの場所はLMS を活用することによってWeb 上に拡大された。さらに、我々はLMSのコミュニケーション機能を利用して電子掲示板にて実務実習施設との連絡や学生の自己評価に活用した。実務実習において、学生はLMSを利用して実務実習モデルコア・コアカリキュラムの自己評価を行い、臨床報告を提出した。我々は、LMSにより事前学習や実務実習支援について学生を対象としたアンケート調査を行った。学生はインターネット上でSGD するこのプログラムの有用性に関して、高く評価した。これらの結果は、我々の開発したLMS による学習支援が実務実習事前学習においてだけでなく臨床実習施設の実務実習においても役立つことを示唆する。
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