研究概要 |
本研究は数学的学力の多様化に対応する,データベースを兼ねたeラーニングシステムの構築が目的であるが,今年度はデータベースを構成するコンテンツの作成と活用に力点を置いたため,以下ではデータベースに関することを主に実績の概要を述べることにする. データベースについて,昨年度末の時点で中学数学の一部分(展開や因数分解,2次方程式)および高校数学の主要な部分(整式・分数式の計算,指数対数の計算・指数関数・対数関数など)は,パソコン上およびプリントアウトして使用できるような形にコンテンツ化している.今年度は高校数学および大学初等学年で学ぶ程度の微分積分に関する問題の大部分をコンテンツ化した.コンテンツはすべて昨年度までと同様に,問題を穴埋め形式または筆記式の2通りで表示できるようにして難易度を2段階にした.また,穴埋め形式を利用して模範解答を表示するように工夫した.加えて,問題に含まれる数値や式をランダムに表示するようにし,単元ごとのコンテンツでそれぞれ約40~1000枚ほどの,問題に含まれる数値や問題の順番が異なった演習プリントがプリントアウトできるようにプログラムを組んだ.これにより,学生が自ら進んで自習する,さらには計算力の向上が見込めるといったようなコンテンツとなったと考えられる.事実,本校のLMS (Learning Management System)にこれらコンテンツをアップし昨年度1年間の学生のアクセス状況を調査したところ,対象学生170余名に対しアクセス数は590と,学生数の3倍以上の利用回数が記録されていた. 今後の課題として,微分方程式などの大学初等年度程度の問題のコンテンツ化と活用方法の試行錯誤を行う.既存のeラーニングシステムと合わせて,より効果的な運用および活用方法を構築していく.
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