研究概要 |
本年度は、早稲田大学附属図書館洋学文庫所蔵資料を中心に調査をすすめた。 まず、早稲田大学附属図書館洋学文庫所蔵資料のうち、宇田川榕菴に関係する資料のリストアップを行った。このリストアップにおいては、大きく、化学、物理、植物学、医学、語学,書簡その他に分類した。また、さらに、刊本、手稿本の分類についても行った。調査当初は、刊本に関してはほとんど調査の必要はないと推定されたが、実際に調査を行ってみると、資料のあちこちに榕菴自筆と推定される書込みがあり、その内容についての調査の必要性が課題として浮かんだ。そこて、本年度は、まず、この刊本における書込みの調査を集中して行った。その結果、例えば、『気海観瀾』における榕菴の書込みと従来、梅園本としてしられていたものにおける書込みとの共通性や相違などがあきらかとなり、江戸期における自然科学受容全体に対する新たな知見も獲得することができたことは大きな成果であった。
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