研究概要 |
本研究は,17 世紀における流体力学の理論的発展を,前半に活動したヨハンおよびダニエルのベルヌーイ親子,クレーローから,中頃から後半にかけて活躍したダランベール,オイラー,ラグランジュまでたどり,古典力学の成立過程を明らかにするものである.古典力学は17世紀に誕生したと言われるが,解析的な表現を得て,今日我々が知っているような力学体系が成立したのは18世紀後半のことである.その理論的発展の過程においては,17世紀に扱われていた質点の運動のみならず,質点系の運動が扱われるようになり,とくに流体の運動は,振動弦や剛体の運動などとともに中心的な研究テーマとなっていた.この流体力学の理論的発展に関する歴史的検討を通じて,この時期に登場した,力学における二つの基本的アプローチ,すなわち保存量(エネルギー,運動量,角運動量など)を用いた問題解法および運動方程式による問題解法に関する考察を進める.両者が歴史的な発展過程の中でどのように絡み合い,統一的な視点で理解されるようになったのか,また力学の基本原理がどのように見いだされ,それを基盤として力学の体系がどのように築かれていったのかを歴史的視点から考察することが本研究の目的である
|