本年度の目的は、研究期間内に、ループコイル法による遺跡探査手法の基礎を確立し、実用化に向けた問題点を明らかにすることである。この目的のために次の作業を実施した。 (1)前年度に実施した送信ループを利用した検証から、送信部に供給する波の周波数は可聴周波数領域とし、異なる周波数の波形を直交する3成分コイルにそれぞれ供給した。 (2)ループコイル法で信号を受信するために、直交する3成分コイルを自作し、プリアンプ、増幅器を経由してデータレコーダに信号を記録した。 (3)3成分送信ループと3成分受信ループを用いて、様々な条件で野外実験を行った。 野外では、実際に地下にモデル物体を埋めておき、異なる測定条件でこれを検知できるかどうかを検証した。検証の結果、送信ループから発する信号は3成分とも異なる信号を送信し、送信ループと受信ループが同じ向きになる時に最も効率よく地下のモデル物体を検知出来ることを示した。さらに、向きの異なる送信ループと受信ループのペアーを用いても、モデル物体の位置推定が可能であることも明らかにした。
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