研究概要 |
ネパール低ヒマラヤ帯における地すべり地形分布の空中写真判読作業を行いinventory mappingを進めるとともに,それら資料のデジタルデータ化をすすめた.同時に1/20万地質図のデジタルデータ化も行った.さらに当該地域に対するSRTMを用いたデジタル標高モデルから地形図を作成し,GISソフトを用いて地すべり分布図,地質図との重ね合わせから,地すべり発生場の地形・地質的特徴を明らかにする作業を進めている.また,低ヒマラヤ帯の活断層分布図も作成し活断層分布と地すべり地形分布の重ね合わせから地震地すべり発生場の特徴をした.その結果いわゆる地質断層に沿って地すべり地形が有意に集中して分布すること,千枚岩地域では断層の存在とは関連無く分布が多くなることが明らかとなった.従って,活断層だけでなく,既存の地質断層による基岩の破砕の進行が,地すべりの発生に重要な素因であることが明らかになった.また,横ずれ活断層のステップ部に岩盤崩壊が多発することから,同部における破砕帯が考察広範に発達すること,さらに活断層に沿って最大規模の地すべり地形が分布することから,その地形規模から過去の地震規模推定の可能性を示唆した.それらの知見は,日本地理学会において発表した. 高精度デジタル標高モデルであるGDEMや等高線図から作成したDEMの表現性について検討し,さらに,ALOS/PRISM,CARTSAT等の衛星画像の解像力・地形表現性について検討しCARTSATの地形表現性が高いことが明らかとなった.それらの知見をもとに,今後の山地斜面ハザードマッピングにおいて,衛星画像データとDEMデータの最良の組み合わせを検討した.
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