研究概要 |
ネパール低ヒマラヤ帯中部における地すべり地形分布の空中写真判読作業を行いinventory mappingを進め東西80km,南北60kmにわたる地すべり地形分布図を完成した.その成果を,1/20万地図やデジタル地形データを重ね合わせることで,地すべり発生場の地形・地質的特徴を明らかにした.さらに低ヒマラヤ帯の活断層分布図も作成し活断層分布と地すべり地形布の重ね合わせから地震地すべり発生場の特徴を検討しいわゆる地質断層に沿って地すべり地形が有意に集中して分布すること,千枚岩地域では断層の存在とは関連無く分布が多くなることが明らかにし,日本地すべり学会において発表した.また,同一地質帯においても,地すべりの発生頻度が特定の斜面傾斜から多くなることを明らかにし,限界傾斜角を明らかにすることでハザードマップ作成のための閾値を特定した. ネパールヒマラヤ西部における崩壊発生場と活断層や地形特性との関連性から,地震時崩壊発生場の予測地図を開発しネパール地質学会において発表した. パキスタンにおいてフンザ川の河道閉塞を引き起こした大規模地すべりの発生兆候についてALOS/PRISM画像の判読により予測可能であったことを明らかにし,その発生場の地質条件や地形場との関連について日本地すべり学会誌に発表した.さらに,ALOS/PRISM画像判読により新たに発生しつつある大規模地すべりを捉え現地調査において確認し,今後の地すべり活動観測の開始について現地NGOと指導調整をすすめた.
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