研究概要 |
活断層から発生する内陸直下型地震の多発する「ひずみ集中帯」(日本海東縁変動帯南部から近畿北部にいたる地域)において,海成段丘・離水海岸地形の高度分布を説明する震源断層モデルをくいちがい弾性理論に基づいて計算し求め,海域活断層の地震発生ポテンシャルについて検討した。得られた成果・知見は以下の通りである。 1.旧汀線の高度分布に極大域を持つ地域のほとんどの傾動・波状隆起は,その震源断層セグメントを沖合数10km(海岸~大陸棚近傍)に想定し逆断層としてのすべりを与えることで断層関連褶曲として復元された。 2.多くの断層の諸元は,長さ20-60km,傾斜角30-50℃(西傾斜,東傾斜両方あり),すべり量2-7m(海岸隆起量~3m),断層先端深度1km前後となる。地震規模はMw7.0-7.5,地震発生間隔は1000-4000年程度と推定される。 3.歴史地震時に海岸が隆起した地域以外において最後の地震隆起を特定する高精度の年代情報はほとんどないが,現成波食棚の発達に地域差が認められる。これらが最後の地震隆起イベントからの時間経過を示すとすれば,現成波食棚の幅が広い海岸では次の大地震発生が近づいていることを暗示している。
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