研究概要 |
本研究では,一般の研究者が安心して利用できる新しい都市・地域解析手法を考案し,それを実践するソフトウェアを開発することを目的とする。とくに道路ネットワークデータを活用することに焦点をあてて新しい解析手法を考案し,ソフトウェアを開発・提供していくことを目指している。この目的のため,研究2年目の平成21年度は,初年度におこなったレビューを踏まえて,都市・地域解析研究の専門家である青山学院大学の岡部篤行教授らに意見を伺いながら,SANETとよばれるソフトウェア開発プロジェクトの中で,本研究の目的を実現することとした。その実装には,(株)パスコの佐藤俊明氏らがボランティア協力してくれており,今年度,ベータ版のツールを公開することができた。このベータ版は,商用の地理情報システムソフトウェアArcGISのプラグインとして開発した。 ベータ版の公開に合わせて,使い方や趣旨を説明する文書やウェブサイトを作成し,ウェブの公開にあたっては,代表者が客員を勤める東京大学空間情報科学研究センターに全面的協力を得た。 ベータ版は,学会などの機会を利用するなどして,国内外の研究者に使ってもらっているところである。ベータ版の公開以後,OSの32ビット版と64ビット版の登場,ウィンドウズ7のリリース,ArcGISのアップグレード,などがあり,実際に利用してもらう中で,代表者らが事前に想定していなかった問合せが多数寄せられている。日本語版と英語版での振る舞いの違いによるのではないかと思われる問合せもある。こうした問合せや改善すべき点へ対応するため,今年度は,64ビットのウィンドウズ7をテストマシンとして用意した。しかし,英語版などの専用テストマシンを用意する予算はなかった。また,指南書などのサポートも必要と思われるが,それについてはまだ着手しただけの段階に留まっている。
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