研究概要 |
国内にてドイツ都市政策関連資料や再生事業地区の情報を収集した後、平成21年8月下旬より二週間にわたってドイツ連邦共和国に滞在し、前年度に引き続きライン=ルール大都市圏におけるコミュニティ再生事業(URBAN, die soziale Stadt, Stadtumbau West)に関する資料を収集するとともに、事業担当者ならびに多文化共生・経済振興施策に携わる地元諸団体に対するインタビューを行い、当該課題に関する事業理念と進捗状況、当面する問題点などに関する現地調査を実施した。 なかでも、近年新たにコミュニティ再生に着手した事業地区、すなわち既成市街地縁辺部に位置するボーフム市ヴェストエンド地区、ドルトムント市ラインシュトラーセ地区、郊外の高層住宅団地地区であるノイス市エルフトタール地区では、前年度に引き続き、インテンシィヴな現地調査を行った。こうした調査を通じて、地区の特性や担い手、事業目的を異にするコミュニティ再生事業の多様な実態について、近年の変化を中心にさらに多くの知見を得ることができた。 あわせて、ドイツにおけるコミュニティ再生事業を管轄する連邦政府建設・空間整備局(BBR)ならびに同局に付置された建設・都市・空間整備研究所(BBSR)を訪問し、当該事業に関する説明を受けるとともに、都市の縮退が進む日独両国における既成市街地再生事業の位置づけや今後の見通し、さらにはポスト工業化社会における都市政策の国際比較について、担当者と意見交換を行った。 こうした研究成果の一部は、「都市縮退時代におけるコミュニティ再生の可能性-西部ドイツ地域の事例から-」(単独;日本都市学会第56回大会,平成22年10月24日,名古屋都市センター)においても発表した。
|