研究概要 |
本研究の最終年度にあたる平成22年度の主たる研究課題は、近年におけるドイツ都市政策や市区再生事業の動向に関する文献資料等から得られた知見を、過去2年間に行ったライン=ルール大都市圏における再生事業の実態調査の成果と対照させつつ、西部ドイツ型のコミュニティ再生モデルを提示することであった。この課題に取り組むために、引き続き関連資料の入手に努めるとともに、現地での調査内容を整理する過程で生じた疑問点や不明な部分については、海外協力研究者、または現地で実施したインタビュー相手から電子メールを通じて、その都度的確な回答を得た。 その結果、西部ドイツでは、(1)市区再生プロジェクトは2005年以降急増しており、しかもその実施地区は従来のような特定の衰退工業地域に限定されたものではなく、広汎な地域に及んでいる点、(2)物的更新に主眼を置いた東部ドイツの事例とは異なり、多文化共生や経済振興、さらには世代を越えた市区内でのネットワーク構築など、ソフトな施策にも配慮した取組みが中心となっていることが明らかとなった。 こうした研究成果については、「都市縮退時代におけるコミュニティ再生の可能性-西部ドイツ地域の事例から-」(単独;日本都市学会第57回大会,平成22年10月24日,高崎経済大学)として、学会にて発表した。その発表内容に加筆・修正を行った後、平成22年11月に『日本都市学会年報』誌(査読有り)に投稿し、平成23年3月8日付けで受理された。あわせて、これまでの3年間にわたる研究成果を現地調査報告とともに整理して、平成23年2月に新たに立ち上げた個人HPへ掲載した。
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