近年におけるドイツ都市政策や市区再生事業の動向を、ライン=ルール大都市圏における再生事業の実態調査と比較対照し、西部ドイツ型のコミュニティ再生モデルの特徴を検討した。その結果、西部ドイツでは、(1)市区再生プロジェクトは2005 年以降急増しており、しかもその実施地区は従来のような特定の衰退工業地域に限定されたものではなく、広汎な地域に及んでいる点、(2)物的更新に主眼を置いた東部ドイツの事例とは異なり、多文化共生や経済振興、さらには世代を越えた市区内でのネットワーク構築など、ソフトな施策にも配慮した取組みが中心となっていることが明らかとなった。
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