研究概要 |
1. 北上川中流部氾濫原低地における河道痕跡の検出と完新世河成段丘面離水年代 北上川中流部,一関~平泉間の氾濫原について3段の段丘面を識別し,その形成年代(離水年代)を特定した。それぞれの形成年代は上位面から,平泉0面が5,400~4,500yrBP,平泉I面が2,600yrBP,平泉II面は2,000yrBP以降であることが求められた。これらの段丘面のうち,平泉I面,平泉II面は現在も洪水時に冠水することから,段丘面の離水という現象を再検討する必要があることが新たに確認された。 2. 阿武隈川下流部の巨大洪水痕跡の検出と形成年代 阿武隈川下流部に広がる仙台平野南部において,1筋の旧河道を新たに確認した。旧河道の放棄年代は従来想定されていた2,600yrBP前後より新しく,2,070yrBPであることが求められた。これにより,阿武隈川右岸(十文字~沼ハタ地区)に広がる自然堤防群の形成が,2,600~2,000yrBPの約600年間におよぶことが明らかとなった。 3. 仙台平野南部の浜堤列の形成年代と巨大洪水の発生年代 仙台平野南部に認められる4列の浜堤列のうち,第III浜堤列の年代は1,000yrBP以降であることが従来の研究で求められているが,新たな調査および年代測定の結果,その形成年代が1,600yrBP前後まで遡ることが求められ,巨大洪水の発生時期との関連で時期的な整合性が図れる見通しがついた。
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