研究概要 |
本研究は, 等尺性収縮時, 腱組繊における鉛直方向(近位-遠位方向)のストレイン(ひずみ)は若齢者よりも高齢者で大きい, という仮説を検証するため, 3つの事項を若齢者と高齢者で比較する : 1)等尺性収縮時における筋東長と筋束角度, 2)等尺性収縮時における腱組織の形状, 3)等尺性収縮時における筋腱複合体の鉛直方向の移動量とストレイン。本年度は, まず位相コントラスト画像法(PCMRl)のセットアップ(撮影シーケンスとコイルの選定), 筋力発揮とPCMR画像取得とのトリガー設定のためのプログラミングをそれぞれ行った.これらのセッティングにより, PCMR画像は筋収縮サイクルと同期して取得できるようになった.続いて, PC MRlを用いた静的な足底屈収縮(等尺性収縮)時における筋・腱組織の動態を3名の若年男性を対象に観測した.その結果, 等尺性収縮時におけるヒラメ筋膜上のひずみは, 正確に定量できなかったので, ひずみ計測には筋・腱組織のダイナミックなモーションを要すると考えた.そこで, PCMRIを用いて無負荷による動的な足底背屈収縮時(足関節可動範囲 : 20度から30度)における筋・腱組織の動態を8名の若年男性を対象に観測した.その結果, ひずみの最大値は0.10±0.08%であり, その部位はアキレス腱横断面積最小部に多かった.また, ヒラメ筋膜上において, 逆位相のひずみ変化が観察され, ヒラメ筋の全長が短縮している局面においても, 局所的に伸長している部位が認められた.今後は, まず1)と2)の事項を若齢者で測定し, 方法論が確定した後, 高齢者の測定を実施する予定である.
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