研究概要 |
本研究は,等尺性収縮時,腱組織における鉛直方向(近位-遠位方向)のストレイン(ひずみ)は若齢者よりも高齢者で大きい,という仮説を検証するため,3つの事項を若齢者と高齢者で比較する:1)等尺性収縮時における筋束長と筋束角度,2)等尺性収縮時における腱組織の形状,3)等尺性収縮時における筋腱複合体の鉛直方向の移動量とストレイン.本年度はまず1)の方法論の確立を実施した.本研究プロジェクトで最も難しい課題であった「筋束長と筋束角度を磁気共鳴画像法(MRI)で計測する撮影シーケンスの開発」はカリフォルニア大学サンディエゴ校放射線科のシンハ教授の助言のおかげもあり,water saturated sequenceを使うことで筋走行形状を可視・定量することができた.続いて,2)の方法論の確立は,これまでの著者の経験に基づいて,gradient echo sequenceを用いることで腱組織を描出することができた.なお,高齢者がMRI内で映像(自ら発揮したカデータのフィードバック)と音(筋力発揮開始を知らせるブザー)に併せて,指定された筋力レベルでリズミカルな収縮を精確に反復するのが困難であったため,随意的な筋力発揮状態での測定は見送り,パッシブな状態での測定を行った.以上,本年度は,上記3つの研究課題を全て遂行し,若齢者と高齢者の測定が全て完了した.次年度は,得られたデータの分析,統計処理,およびまとめを行い,学会発表と論文投稿を行う.なお,追加のデータが必要と判断した場合,追加の実験を行う.
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