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2010 年度 実績報告書

脳が左右非対称であることの生物学的基盤の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20509009
研究機関北海道大学

研究代表者

川上 良介  北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (40508818)

キーワードニューロン / シナプス / 神経回路
研究概要

本研究では、NR2Bサブユニットのシナプスにおける左右非対称分布が、生物学的にどのような意義をもつかについて明らかにすることを目的としている。本年度はivマウスの新規環境探索行動における左右性消失の検証と海馬CA1-CA1シナプスの形態学的解析を行った。始めに繁殖不良を起こしているivマウスをC57BL/6へ戻し交配を行った。しかしながら、繁殖状況に改善は見られなかった。そこで、同日生まれが必要な行動解析ではなく、新規環境下での可塑性依存的遺伝子発現を指標として大脳皮質の左右性をWTとivマウスとで比較検討した。分離脳手術および単眼遮蔽を施したマウスを新規環境下に置き、海馬歯状回顆粒細胞での遺伝子発現を免疫組織学的に解析を行った。その結果、WTマウスおよびivマウスの左右どちらの眼を遮蔽しても右海馬での遺伝子発現が上昇することが明らかになった。このことは、大脳皮質においては空間情報の処理において右優位であることを示唆しており、また同時にivマウスの海馬と異なり左右性の消失が見出されないことから、大脳皮質の左右性は海馬と異なることが考えられる。
次に、海馬CA1-CA1シナプスの形態学的特徴であるPSDサイズとスパイン形態を指標に左右で比較解析した結果、このシナプスにおいて左右性を見出すことが出来なかった。このことは、左右性を発現している海馬神経細胞はCA3特異的である可能性を示唆している。
本研究により、脳の左右性は海馬のみならず大脳皮質においても回路的偏重があることが見出された。そして、この左右性を決定するメカニズムは少なくとも複数の遺伝子が関与していることが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Comprehensive behavioural study of GluR4 knockout mice : implication in cognitive function2010

    • 著者名/発表者名
      N.Sagata, A.Iwaki, T.Aramaki, N.Tsunekawa, K.Takao, S.Kura, T.Tsuzuki, R.Kawakami, I.Ito, T.Kitamura, H.Sugiyama, T.Miyakawa, Y.Fukumaki
    • 雑誌名

      Genes, Brain and Behavior

      巻: 9 ページ: 899-909

    • 査読あり
  • [学会発表] Morphological characterization of left and right hippocampal pyramidal cell synapses2010

    • 著者名/発表者名
      Ryosuke Kawakami, Ryuichi Shigemoto
    • 学会等名
      The 16th Takeda Science Foundation Symposium on Bioscience
    • 発表場所
      シェラトン都ホテル東京東京
    • 年月日
      20101201-20101208

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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