研究課題
平成21年度は、介入対象者を決定するために、前年度に認知機能や運動機能検査を受けた106名の内で除外基準に合致しなかった37名に対し、MRI検査を実施した。MRIによって無症候性脳梗塞、高度な脳委縮のない24名を最終的な対象者として決定した。24名の対象者をランダムに介入群(12名、平均年齢77±3歳)とコントロール群(12名、平均年齢77±2歳)に割り付けて3か月間の介入を実施した。運動機能の測定として介入前後にtimed up and go testを行った。脳機能の測定は、[^<18>F]fluorodeoxy glucose(FDG)を用いたpositron emission tomography(PET)にて介入前後の脳の糖代謝を測定した。介入は3か月間、週2回、1回につき90分間の運動教室とした。運動の内容は、筋力トレーニング、歩行練習、理学療法とし、1グループを6名として2名の理学療法士により実施した。また、家庭内練習として運動内容が書かれた冊子を配布して、毎日運動を行うように促した。対照群については、今まで通りの生活を継続するよう促した。3か月の介入期間中、すべての対象者がすべての教室に出席し、検査を受けた。対照群についてもすべての対象者が歩行検査を受けたが、1名の対象者がFDG PETの検査を受けなかった。3か月の介入の結果、timed up and go testは両群ともに向上し、群間差は認められなかった。FDG PETの分析では、介入群において前頭前野の糖代謝が介入後に向上した。以上の結果から、高齢者に対する運動介入は、歩行機能を向上させ、加齢とともに機能低下する前頭前野の活動を賦活する可能性が示唆された。
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