研究課題/領域番号 |
20510003
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松下 文経 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (80361319)
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研究分担者 |
福島 武彦 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (90124354)
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キーワード | SAMO-LUT法 / RMIM法 / クロロフィルa濃度 / トリプトン濃度 / CDOM / 半経験・半理論モデル / 生物光学モデル |
研究概要 |
本研究では、衛星データから高濁度湖沼の水質パラメータ、すなわちクロロフィルa濃度(Ch1-a)、トリプトン濃度、波長440nmにおけるCDOMの吸収係数、を推定するための3つの新しい手法を開発した。まず、高濁度水域の反射スペクトルからCh1-aを高精度で推定するために、新たな3波長指数を提案した。新3波長指数の有効性について、アジアの2つの高濁度湖沼(すなわち、日本の霞ヶ浦と中国の〓池)から収集したデータを用いて検証した。その結果、2つの湖沼において、新3波長指数とCh1-aの間に強い相関がみられ(R^2>0.83)、Ch1-aを高精度で推定することができた。次に、高濁度水域における水中基本成分の濃度を同時推定する手法SAMO-LUTを開発した。SAMO-LUTはCh1-a、トリプトン濃度、CDOMを推定するための3つの半理論・半経験的な指数に基づいている。LUT法と繰り返し捜索戦略ほ法も衛星データから計算した指数に最適な推定モデルを選択するために導入した。SAMO-LUTの有効性について、3種類のデータセットを用いて検証した。その結果、ノイズが含まれないシミュレーションデータを用いた場合、SAMO-LUTではほぼエラーなしの推定結果が得られ、この手法は優れたメカニズムを有するものと考えられた。現地調査データと衛星データを用いた場合も、良い推定結果が得られ、相対誤差はそれぞれ10%と39%以下であった。最後に、対象水域での特定固有光学特性(SIOP)を入手できない場合でも、高濁度水域における水中基本成分の濃度を同時推定できる手法RMIMを開発した。RMIM手法に必要な入力パラメータはわずか数地点での水域からの分光反射率、水サンプルからのCh1-a、トリプトン、CDOM各濃度である。これらのデータは定期的な衛星観測とフィールド水採取、その分析から取得できる。RMIMの有効性について、2種類のデータセット(Hydrolightシミュレーションデータデータ、MERIS衛星データ)を用いて検証した。その結果、相対誤差は6.8%~22.7%であった。
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