研究概要 |
現存量を推定するため,メヒルギ林とオヒルギ林それぞれで地上部個体質量w_T(kg)を推定するための相対成長式を確立した(H,樹高(m);D_<0.1H>,H/10高での幹直径(cm))。メヒルギ林ではw_T=0.0341(D^2_<0.1H>H)^<1.03>,また,オヒルギ林ではw_T=0.0412(D^2_<0.1H>H)^<1.05>となり,地上部個体質量は両樹種ともほぼD^2_<0.1H>Hに比例していた。 メヒルギ閉鎖林においては,自己間引きの3/2乗則が認められた(自己間引き係数=1.58)。また,平均個体質量の相対成長率は相対死亡率の減少に比例して減少し,比例定数は自己間引き係数とほぼ一致した。これまでの自己間引きに関する研究には,同一個体群を長年に渡り測定した例は無く,したがって,平均個体質量の相対成長率と相対死亡率との比例関係を検証した研究例は無く,本研究において始めて平均個体質量の相対成長率と相対死亡率との比例関係が実証された。この結果は,平均個体質量と個体群密度の軌跡の理論的研究を進めの上で重要な貢献となるものである。 メヒルギの個体呼吸速度は個体質量のべき乗式で表された。べき指数は11月から5月までは1.0で近似され,休眠期の呼吸と定義された。一方,7月から9月までは3/4で近似され,成長期の呼吸と定義された。また,6月は休眠期から成長期への呼吸に変化する推移月,逆に,10月は成長期から休眠期に変化する推移月であった。 リターフォール各器官(葉,枝,子葉,胎生種子,花)の月変化には年間で有意差は無く,また,その周期は枝を除いて12ヶ月であった。葉のリターフォールの増加に伴い,子葉のリターフォールも増加し,出葉と落葉が同調していた。生殖器官(花と胎生種子)のリターフォールの増加に伴い,子葉のリターフォール,すなわち,出葉量は減少し,生殖器官量の増加が出葉量の増加に対する負荷になっていた。
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