研究課題/領域番号 |
20510017
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研究機関 | 富山県立大学短期大学部 |
研究代表者 |
川上 智規 富山県立大学短期大学部, 教授 (10249146)
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研究分担者 |
加賀谷 重浩 富山大学, 理工学研究部, 准教授 (50272894)
永淵 修 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (30383483)
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キーワード | 大気中水銀 / パッシブサンプラー / スパッタリング法 / インドネシア / 金精錬所 / 山岳地 / 長距離輸送 |
研究概要 |
大気中の水銀濃度測定用のパッシブサンプラーを開発し、試用した。分子拡散部を含むパッシブサンプラーのケースには、当初、市販のものを用いる予定であったが、酸洗いにより溶解することが判明したため、テフロン製のケースを設計製作した。分子拡散部の後段のケース内部に設置する水銀の吸着剤として、金皮膜を蒸着させた石英ろ紙を用いた。金皮膜は、電子顕微鏡の前処理に用いるスパッタリング法を用いることにより、均一な皮膜を形成することに成功した。このパッシブサンプラーと、ポンプを用いたアクティブサンプラーとを同時に用い、大気中のガス状水銀を測定することによって、パッシブサンプラーの性能を評価した。その結果、2-10ng/m^3の低濃度領域であっても、両者はほぼ1:1の直線にのる相関関係があり、パッシブサンプラーの実用性が示された。しかしながら、3ng/m^3前後の低濃度領域における両者のずれが最大2倍程度と大きい場合もあり、このずれが生じる原因を探ることが今後の課題である。一方、10ng/m^3を超える高濃度領域では(国内ではこのような高濃度の水銀は観測されないため、インドネシアにおける観測)両者の値はほぼ一致した。インドネシアの金精錬所近辺において、7個のパッシブサンプラーを設置し、水銀の拡散を調べた結果、精錬所からの距離に応じて水銀濃度が減少する減衰曲線が得られ、拡散状況が明らかになった。精錬所近傍では700ng/m^3あった水銀濃度が5kmの間に20ng/m^3にまで減少する一方、70km離れた地点においても10ng/m^3以下には下がらなかった。他の精錬所からの影響を受けている可能性がある。今後は、気圧、温度、湿度などの気象パラメータをパッシブサンプラーの拡散速度推算式に取り入れることにより、低濃度領域の精度を上げたうえで、山岳地に設置し主に長距離輸送をターゲットとした観測を行う。
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