研究概要 |
本研究ではSO_2/H_20/Air混合ガス中に有機化合物を加えてコロナ放電を行うことにより、ナノサイズの硫酸微粒子の生成・成長に対する有機化合物の影響について実験的に調べた。特に有機物としては近年大気中の微粒子生成への寄与が検討されている2種類のアミン(ジメチルアミン:DMAおよびトリメチルアミン:TMA)とアンモニアを用いた実験を行い、それらが硫酸微粒子の生成・成長に与える効果を比較した。 実験では高純度空気にH_20:1000ppm、SO_2:0.1ppmを加えたガスを用いた。これにNH_3、DMA、TMAを0-5.Oppm加え、直流コロナ放電によるプラズマ反応場を通して微粒子を生成させて、生成微粒子の移動度分布を微分型静電分級器で測定した。 実験の結果、以下の知見が得られた。 1.NH_3、DMA、TMAはいずれも硫酸微粒子の生成・成長を促進する効果がある。 2.粒子の生成量ではDMAが最も促進効果が大きい。一方、生成した微粒子の粒径はTMAを加えた場合が最も大きくなり、微粒子の成長に対してはTMAの効果が最も大きい。 3,TMA、NH_3の主な粒子の生成機構は均一核生成であり、イオン核生成は起こりにくい。 4,DMAでは均一核生成およびイオン核生成が共に効果的に起こる。 これらの実験結果から、アミン類はアンモニアよりも硫酸微粒子の生成・成長に効果があるが、アミンの種類によって微粒子の生成・成長を促進させるメカニズムが異なることが明らかになった。
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