研究課題
福岡市の母子842組の出産後1か月と10か月の健診時に収集された毛髪中のミネラル量のPIXEによる測定を完了した。同時に収集した乳幼児の臨床検査(医師によるアトピー等の診断も含む)、母親の食習慣並びに生活環境に関するアンケート調査の結果と毛髪ミネラル量を電子ファイル化しデータベースを構成した。そして、毛髪中のミネラル量及び母親の妊娠中の食習慣と、アトピー性皮膚炎など環境起因が疑われている疾患との因果関係を究明するための統計解析を行った。PIXEによる毛髪中ミネラル量測定の特性として、毒性を疑われるミネラル程、同一人の毛髪間でのミネラル量の変動が大きい傾向に有ることを発見した。統計解析では変動が大きいミネラルのリスクは過小評価される。そこで、1か月と10か月の測定結果を比較する事により、ミネラル毎の変動量を求め、過小評価されたリスクを復元する方法を開発し、実際に復元した結果、母親のセレン(Se)がアトピー発症の原因の一つであるという仮説を得た。福岡医師会と協力して確認研究を実施する予定である。PIXE測定では、ビームが当たった狭い部分だけが測定対象となるため、測定値にばらつきが生じやすく、また、測定値が他の元素の特性X線ピークによって妨害を受けて誤差を増大させることもあるため、一本の毛髪から複数の測定を行い、測定精度を補償する工夫をすることが望ましいことが示唆された。
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Biometrie and Medizinische Informatik Greifswal der Seminarbericht
巻: 17(To appear)
International J.PIXE
巻: (To appear)
International Conference on Environmental Engineering and Applications ; Singapore
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International Conference on Environmental Engineering and Applications, Singapore
ページ: 173-176
Lecture Notes in Engineering and Computer Science, WCECS, San Francisco
巻: II ページ: 932-935