生物多様性条約(CBD)の重要課題である遺伝伝資源アクセスと利益配分(ABS)課題について、平成20年度は主に国際的な議論の動向の把握および国内機関に対するヒアリング調査によって基礎的情報の収集・整理を行った。 1.国際議論の動向調査 本年度は、関連国際会議の基礎的文献収集および関連会議への出席(OECD-WGEAB、CBD-WGABS等)による情報収集・整理とともに、関連国際環境条約(生物多様性条約およびFAO食糧農業植物遺伝資源条約)におけるABSの議論に係る会議議事録および会議資料の収集・分析により実施した。ABS課題は、2010年に名古屋で開催されるCBD-COP10(第10回締約国会議)において、法的拘束力のある国際レジーム(IR)の議論がまさに行われている課題である。本年度の研究では、さまざまな国際フォーラムの場での議論や交渉カントリーグループの見解を網羅的に整理し、外観することにより、国際交渉における着地点のあり方を模索するための基礎資料を収集した。これらの研究成果を活用しつつ、国際交渉の進展に役立てる政策提言につなげるという政策的重要性を有する。 2.利益配分メカニズムに関する研究 具体的な利益配分メカニズムに関する研究では、関連機関(経済産業省、環境省、農林水産省、日本バイオインダストリー協会、地球環境戦略研究機関等)への聞き取り調査及び、国内企業の利益配分に係る情報収集によって、基礎情報の収集を行った。また、インドネシアの研究機関を訪問し、途上国側の利益配分の選好に関する基礎調査をヒアリング及びアンケートを用いて実施した。
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