研究概要 |
本年度は予定していた以下の3点について、一定の成果を得た。 1. ため池の現地調査 先に選定された7つの代表的ため池について、魚類及び水質(未調査分について)調査を行い、データを得た。 2. 経済価値評価手法の選定 文献調査を精緻に行い、ため池の経済価値評価に相応しい手法を選定した。これまでの文献調査では日本での経済価値評価手法としてコンジョイント法が多く用いられていることがわかっているが、ため池の価値を属性帰属法によって測定する場合には、プロファイルの作成を制限せざるをえないコンジョイントよりも、混合ロジット法(離散選択モデルの一種)の応用が有効であることがわかり、これにしたがったプロファイル作成を行った。離散選択モデルの選定にあたっては、個人の経済行動に即したモデルであり、しかも混合ロジットモデルは選択対象の代替性について強い課程を置かなくて済むという利点があることを考慮した。 3. 経済価値評価の実施 検討の結果、質問項目として7項目(自宅からの距離、円周での大きさ、周辺管理状況、水際状況、水質、魚類、費用)を選定し、それぞれについて適当な属性レベルの設定を行った。とくに、費用については、毎月の税金上乗せ分としての管理費を適用した。アンケートは4選択1で、直行計画法により属性レベルの異なる64種類のプロファイルの中から4つを一つの提示カードとする16種類の質問票を作成した。選択者の属性は、就業状態、年齢、性別、地域、続柄、年収、貯蓄などである。これについてネットアンケートで、合計約16,000サンプルのデータを得た。
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