研究課題
企業が行う環境コミュニケーション活動の役割として、内部の組織能力の向上や、市場での企業価値の向上が期待されている。本研究の目的は、このような企業の環境コミュニケーション活動の「期待される役割」について、企業調査から現状を検証し、それを踏まえてエージェントベースシミュレーションから有効な環境コミュニケーションデザインを提示することである。今年度は、1「環境コミュニケーション」に関する国内外の公的機関の資料から本研究の定義の確立、2「環境コミュニケーション」に関する研究文献のサーベイ、3環境問題に関するエージェントベースモデリング(以下、ABM)研究のサーベイ、4ABMに関する最新研究の情報収集、5ユニークな活動を行う企業として、滋賀銀行・サッポロビールへのヒアリング、6川崎国際環境技術展2008での情報収集、および、7地域の環境経営推進の環境コミュニケーション活動として三重県へのヒアリングを実施した。特に3に関しては論文を公表し、次の点を明らかにした。環境問題に対する政策・制度デザインのためのABM研究では、汚染排出の制御問題、環境資源の利用問題、環境配慮の普及問題、および、排出権取引など国際的ルール設計問題の4領域の研究がある。環境配慮の普及問題に関するABMは、イノベーション普及学の知見や社会心理学モデルを応用しており、本研究の問題関心に近いものである。しかし、企業の環境コミュニケーション活動に関する組織内外への影響に関するモデル分析は皆無であり、本研究の独自性が確認された。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (1件)
オペレーションズ・リサーチ Vol. 53, No. 12
ページ: 678-685