【目的】本研究はサウンドスケープデザインに関して、その最も重要な特徴である「住民の参加と主体性」に着目し、環境マネジメント一般にも応用可能なフォーマル理論の構築を行なうことを目的とする。【具体的内容】本研究の全体的計画は、事例の調査(平成20年度)、領域密着理論の構築・検証(平成21年度)、およびフォーマル理論の構築(平成22年度)の3段階から構成される。平成21年度は当初の計画の通り、領域密着理論の構築と検証を行った。まず、前年度の調査結果をもとにベースとなる理論を構築し、平成21年10月から11月にかけて検証のための現地調査をおこなった。調査では、構築した領域密着理論を裏づける証言や事実を得ることができた。研究の成果は、国際騒音制御工学会議、日本サウンドスケープ協会での研究発表、また沖縄工業高等専門学校紀要における論文として発表し、成果を広めるとともに、専門分野の内外の研究者からも有益な示唆を得ることができた。【意義と重要性】本研究の理論は、調査から得られたデータとの対話から構築することに意義がある。平成21年度の調査においては各領域におけるローカルな理論を組み立てると同時に各事例の共通点を探り、本研究の当初目的が概ね正当であったことを確かめることができたことが重要である。次年度目標である、サウンドスケープ研究、音環境研究以外の分野における知見との整合性を考慮しながら、環境マネジメント一般につながるフォーマル理論の構築に向けた基礎を構築することができた。
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