研究課題/領域番号 |
20510050
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今中 哲二 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (90109083)
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研究分担者 |
遠藤 暁 広島大学, 工学研究科, 准教授 (90243609)
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キーワード | 広島・長崎 / 原爆放射線 / 残留放射線 / 誘導放射線 / 黒い雨 / 放射線輸送計算 / DS02 / DS86 |
研究概要 |
平成22年度は、広島・長崎原爆による誘導放射線量再評価のため、広島土壌中のScといった安定元素分布のバラツキを求めるための放射化分析を実施するとともに、広島原爆によるLocal fallout(いわゆる"黒い雨")にともなう被曝をふくめた、残留放射線全体の再評価に取り組んだ。広島土壌の放射化分析については、8月11日に広島市内10カ所の土壌を採取し、京都大学原子炉(KUR 1000kW)を使って放射化分析を実施し、現在その結果を解析中である。 Local fallout問題については、近年の測定技術の進歩にともない、U235/U238比、U236/U238比のTIMS(表面障壁型質量分析)測定やU236/U238比に関するAMS(加速器質量分析)測定が利用可能となったことから、黒い雨の降雨地域土壌サンプルにおいて、広島原爆由来の放射能の新たな痕跡を測定できることが期待されている。また、黒い雨降雨地域において、原爆後でかつ1950年代にGlobal falloutの影響がはじまる以前に建築された家屋の床下土壌をサンプリングして原爆由来のセシウム137を測定する試みも続けている。こうした、広島原爆によるLocal fallout問題については、「広島"黒い雨"放射能研究会」という形で取り組みを行っており、平成22年5月には16編の関連報告をふくむ「広島原爆"黒い雨"にともなう放射性降下物に関する研究の現状」と題する中間報告をまとめ、また平成22年10月に京都市で開催された日本放射線影響学会においては、「広島"黒い雨"地域におけるローカル・フォールアウトの実態解明」というテーマでシンポジウムを開催した。
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