研究課題/領域番号 |
20510056
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
岩淵 邦芳 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10232696)
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研究分担者 |
橋本 光正 金沢医科大学, 医学部, 助教 (70293975)
渡邉 健司 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教 (80404333)
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キーワード | 分子生物学 / 核 / DNA二重鎖切断 / 放射線 / 修復 / ユビキチン / 53BP1 / Rad18 |
研究概要 |
53BP1はDNA二重鎖切断部位に速やかに集積しフォーカスを形成する。我々は、ニワトリDT40細胞を用いた遺伝学的解析から、53BP1が概知のKu70/80/DNA-PKcs経路、ATM/Artemis経路とは異なる経路で、非相同末端結合修復に関与していることを報告した。さらに、損傷乗り越えDNA複製に関与するE3ユビキチンリガーゼRAD18が、53BP1と同じようにDNA二重鎖切断部位に集積しフォーカスを形成することを見出した。Rad18のフォーカス形成は53BP1依存性であり、53BP1とRAD18は免疫沈降で共沈した。53BP1は、53BP1のフォーカス形成に必要な領域であるKBDドメインを介して、Rad18のZinc fingerドメインとin vitroで直接結合した。さらに、53BP1はin vitroでRad18依存性にモノユビキチン化された。Zinc fingerドメインに変異を持つRad18(Rad18C207F)は、フォーカス形成能力、53BP1との結合能力を失い、同時に53BP1をモノユビキチン化する能力も失った。Rad18遺伝子欠損DT40細胞がG1期にX線感受性が亢進することから、Rad18もDNA二重鎖切断の非相同末端結合修復に関与することが示唆された。遺伝学的解析から、G1期のX線感受性においてRad18は53BP1とエピスタティックであった。さらに、Rad18遺伝子欠損細胞にRad18C207Fを発現させても、G1期のX線感受性は回復しなかった。以上より、Rad18は、損傷乗り越えDNA複製に関与するのみならず、53BP1依存性非相同末端結合修復経路でも機能することが示唆された。
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