研究概要 |
1.臭素化合物のTR-TRE系の:転写への影響の解析から、脳発達毒性の評価を行う新たなスクリーニング系としてPurkinje初代培養細胞を用いた系を樹立した。この系では生後1日目のラット小脳を取り出し、17日間リガンドを加えて培養し、抗原抗体反応を行い蛍光物質のFITC融合-抗体でPutkinje細胞を標識しレーザー共焦点顕微鏡で観察する。臭素化合物Polybrominated Diphenylethers(PBDEs),Hexabromocyclododecane(HBCD),polybrominated biphenyl mixture(PBB)であるBP-6を添加すると転写抑制によく一致した樹状突起の進展抑制反応が認められた。一方、TRを介する転写を活性化する化合物ではT4が低用量のとき進展促進反応を認めた。抑制作用は過剰量のT4により完全には回復しなかったことからTR系以外の機構が関与することが示唆された。そこで、小脳顆粒細胞における環境化学物質の影響を解析するため、新規アッセイ系を樹立した。この系では生後7日のラットから顆粒細胞のみをパーコール密度勾配法を用いて分離し培養するため、顆粒細胞への影響を評価することができる。TRを介した転写を抑制する物質では神経突起の進展が抑制された。この抑制は過剰量のT3では回復しなかったがBDNFにより完全に回復した。また、T3では神経突起の長さと太さを増進させたが、BDNFでは網目状の進展を呈した。 2.ROR-TR相互作用:核内ホルモン受容体RORのホルモン応答配列に対する影響及び、環境化学物質の影響を解析し、転写活性は野生型TRはRORと相加的に活性化されたが、RORsg(スタグラータイプの変異)では活性化しない。ここに環境化学物質を添加するとTR単独の時と同様の結果を得た。リアルタイムPCR法で発現を解析し、in vivoでも相応する結果を得た。 3.胎児期に発現するコファクターの解析:胎児期に多く発現し、胎児期脳のライブラリーから同定したB-ReMに対する抗体を作成し正常脳発達における局在を免疫組織法で解析した。
|