N-ニトロソアミノ酸のUVA光増感による反応機構は、まずN-ニトロソ基が光子を吸収して光開裂してNOを放出し、2次反応的にアルキルカチオンラジカルや活性酸素種が生じて、DNA切断、酸化的傷害、アルキル化傷害、ひいては突然変異を引き起こすことが明らかとなった。さらに、光増感反応により生成するDNA損傷の同定を行い、N-ニトロソアミノ酸の一つニトロソプロリンの光反応で新規のDNA付加体を同定した。また、ニトロソプロリンの光反応に伴い、アミノ酸残基のニトロ化・ニトロソ化が起きた。この光反応は太陽光でも起きた。したがって、ニトロソプロリンは太陽光照射でヒト体内でもDNA付加体形成やアミノ酸のニトロ化・ニトロソ化を起こす可能性のあることが分かった。
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