研究概要 |
1.ラット肝臓での甲状腺ホルモン応答遺伝子同定 これまで、肝細胞のcDNAマイクロアレイ解析と新生児期甲状腺ホルモン投与モデルの解析により、肝における甲状腺攪乱の指標となる遺伝子群(RLT3-2,RLT3B-49,DIOs,Spot14,UGT1A6等)を明らかにしてきた。そこで甲状腺ホメオスタシスに影響する化学物質としてアミオダロン(甲状腺毒性が知られる医薬品で、我々は最近その甲状腺ホルモン活性を明らかにした)を用いて、新生児期影響を定量的に評価した。すなわち、生後1日のF344ラットにアミオダロンを投与し、6週齢時にその肝組織及び下垂体組織からRNAを抽出して、指標遺伝発現を定量解析した。その結果、新生児期の化学物質投与により、成体時で指標遺伝子(特にRLT3-2、UGTIA6、Cyp17a)発現が大きく変動していることが明らかになった。この発現解析により、新生児期の化学物質投与による成体時影響を同定できることが例証された。 2.高感度甲状腺ホルモン応答レポーターアッセイ系の開発 甲状腺ホルモン擬乱作用をもつ物質の同定のため、レポーターアッセイ系を改良し、トリョードサイロニン(T3)10^<-12>Mの作用を検出できる高感度なアッセイ系を構築した。この方法を用いることで、今回closantel,4'OH-BDE17等の甲状腺ホルモン作用を見いだした。このアッセイは、環境化学物質の甲状腺ホルモン活性評価や活性代謝物の解析に大きく寄与することが期待される。
|