これまでの研究で、九州地方の漁港底質中に高濃度に蓄積する有機スズ化合物の存在を明らかにしてきた。本研究では、国内およびアジアの他の地域においても同様の汚染が進行しているのかを研究することを目的とした。本年度の研究の結果、神奈川県および千葉県の漁港および韓国南部の漁港において採取した底質を分析した結果、漁港の構造が九州とは異なるため、船底塗料塗り直し設備の有無の分類にやや難があったものの、九州とほぼ同様に、船底塗料塗り直し設備が有機スズの高濃度汚染源となっていることを突き止めた。これらの内容は日本環境化学会で発表を行い、さらに共同通信社により全国の新聞で報道された。 また、代替塗料の現状調査を行った結果、現場で得られた環境試料としては、これまでに報告のない高い汚染レベルのジンクピリチオンが検出される漁港が観察された。この内容も環境ホルモン学会(2008年12月)において発表を行った。
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