研究概要 |
環境汚染物質を目然エネルギーや自然に本来備わっている浄化作用を利用して、分解・無害化することを目標にして、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンに代表される揮発性有機化合物(VOCs)に汚染された土壌を、植物の根圏(Rhizosphere)に棲息する微生物を利用したシステムによって浄化することを目的とした。今年度については、実験室で、デザインしたシステムが真にVOCsを無害化するかについてその効果に関しての評価を行った。植物として根圏微生物でVOCsを分解できることが報告されている大豆をまず対象として、大豆が植栽されていた土壌とそれを滅菌したときの土壌について、VOCsの代表例としてトリクロロエチレン(TCE)の分解性能を評価したところ、大豆が植栽されていた土壌の場合にはTCE濃度の減少がみられ、分解活性があることが確認できた。また、大豆の根圏に棲息するTCE分解微生物をさらに活性化する目的で、アスパラガスの根から滲出することが知られている生育阻害物質3,4-dihydroxyphenyl aceticacid(3,4-DPAA)をTCEと同時に加えたところ、TCEの分解速度、分解量は、添加しない場合にくらべ、大きくなった。これらの結果から、植物の生育阻害物質とその根圏微生物を利用してTCEを分解・無害化するためのデザインしたシステムは、有効に働くであろうことが実験室にて確認することができた。
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