研究概要 |
研究目的:実機都市ごみ燃焼炉におけるde novo合成の模擬実験【実験室規模の燃焼炉、温度800℃、PVC粉末の燃焼排ガスを、約300℃に保持した反応管に導入するde novo合成実験】を行い、有害なダイオキシン類の増加量を測定する。本研究で提案した「煙道内壁面加圧法による有害物質の生成抑制」すなわち多孔質内壁面圧上昇法により、有害物質がどの濃度まで抑制できるかを基礎的に検証し、ごみ燃焼プラントのエネルギー極限利用に寄与できる方法とデータを提供する。 研究成果:平成21年度は、主としてde novo合成に及ぼす水蒸気の影響について調査した。 (1) 水蒸気によるダイオキシン類生成濃度増加の原因を調べるため、約300℃に保持したSUS製反応管に16g/minの水蒸気を付加してde novo合成実験を行った結果、1/3のde novo合成時間にも関わらずダイオキシン類濃度は2倍に増加した(生成速度は6倍に増加)。水蒸気添加量とダイオキシンの前駆体物質である2,4,6-トリクロロフェノールの生成濃度との間には強い正の相関があり、この2,4,6-トリクロロフェノールを介したダイォキシン類の生成、特にPCDDs生成量の増加が判明した。現在、煙道排ガス急冷のために通常行われている水噴霧はダイオキシン類生成の一因であると言える。 (2) 上記の結果から、燃焼過程におけるダイオキシン類生成濃度に及ぼす燃焼物質中の水分含有量の影響も非常に大きいと考えられるため、含水率の異なるNaCl含有小麦粉水和物粉末試料の燃焼実験を行った。3月末には排ガス中のダイオキシン類濃度の分析結果が判明する。ダイオキシン類生成濃度と含水率との間にも正の相関があれば、燃焼ごみの予備乾燥脱水がダイオキシン類生成抑制に効果的な方法であると言える。
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