研究概要 |
世界に事例のない「ガス状ホウ素化合物による植物被害」が発生し,急遽開発した測定法は,煙道外排ガス採取法(2形方式)のため,バラツキが大きかった。そこで,当基盤研究C(平成17年度から3年間)で,煙道内でアルカリ含浸ろ紙等に捕集する煙道内排ガス採取法(1形方式)を開発した。これは煙道内で捕集するため,排ガス温度や分圧等の影響が全くなく,昇華性を有するガス状ホウ素化合物の測定に高い分析精度が得られた。一方,通常の工場排出ガスには,有害ガス(硫黄酸化物(SO_x),窒素酸化物(NO_x)等)がほとんど含まれており、かつ、法律上測定する義務がある。このアルカリ含浸ろ紙は,常温ではガス状ホウ素化合物以外に,酸性有害ガスの捕集が考えられるため,20年度,ガス状ホウ素化合物と硫黄酸化物(SO_2)の同時捕集に着目し,検討したところ,捕集材に酸化剤とアルカリ性の両方の特徴を持った過酸化ナトリウム含浸石英繊維ろ紙で同時捕集が可能であった。 21年度,この過酸化ナトリウムは危険物であるためそれ以外の物質として,含浸ろ紙捕集材に(1)酸化触媒:五酸化バナジウム+アルカリ剤:炭酸カリウムと,(2)酸化剤:PTIO(2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-3-オキシド-1-オキシル)+アルカリ剤:炭酸カリウムの2種類の混合溶液を含浸させた石英繊維ろ紙を組み込んだ1形方式小型採取器を用い,排出ガス中のガス状ホウ素化合物と硫黄酸化物(SO_2)の同時採取法の検討を行った。その結果,SO_xとガス状ホウ素化合物の同時測定が,十分に可能であることが明らかとなった。
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