研究概要 |
本研究は,セメントや天然骨材を使用せず,廃棄資源のみで製造するコンクリート(廃棄資源コンクリート)とその補強材として有効利用が望まれる竹を用いる環境負荷低減に有効な建設材料を開発することが目的であり,平成20年度は,廃棄資源コンクリートや竹筋の耐久性改善策を検討した。 廃棄資源コンクリートは,結合材であるセメントの代わりに高炉スラグ微粉末,フライアッシュおよび脱硫石こう,天然骨材の代わりに高炉スラグ骨材や再生骨材を用いて製造し,凍結融解試験や酸や硫酸塩による耐薬品性試験を行った。その結果,AE剤添加による空気泡連行によって若干改善するものの強度発現性が低い廃棄資源コンクリートの耐凍害性はかなり低いこと,その空気泡連行性は通常のコンクリート用よりもフライアッシュ用のAE剤の方が高いこと,廃棄資源コンクリートの質量は通常のコンクリートと同様に硫酸塩水溶液に浸漬すると増加して塩酸水溶液に浸漬すると減少するので,耐硫酸塩性や耐酸性に問題のあることなどが確認できた。 竹は,水とくにアルカリ性の水に浸漬すると品質が低下する。そこで,竹に加熱油抜き,燻煙,海水浸漬,樹脂塗布,樹脂塗布砂付け,ポリマー塗布などの処理を施し,アルカリ水に浸漬して色や強度の変化を調べるとともに,これらの処理を施した竹と廃棄資源コンクリートを複合化させて小形はりを作製し,載荷試験を行って竹の補強効果を調べた。その結果,アルカリ水に浸漬しない場合,油抜きや燻煙などの加熱処理や樹脂による被覆処理を施した竹材の方が,無処理や海水処理よりも高い強度を示すこと,いずれの竹材もアルカリ水への浸漬で強度低下を生じるが,樹脂やポリマーによる被覆処理にはその抑制効果があること,樹脂塗布後に砂を散布した竹は,付着性が高まるために廃棄資源コンクリートの補強効果が高いことなどが確認できた。
|