研究概要 |
世界的なコンクリート,鋼材等の生産増により,炭酸ガス,廃棄物等の排出量拡大やそれらの原材料採取時の環境破壊が深刻化し,老朽構造物の解体で生じるコンクリート塊等も増加している。また,わが国では竹の利用衰退によって竹林繁茂や里山荒廃が進んでいる。 本研究は,様々な環境対策として,製造時に炭酸ガスを大量放出するセメントや貴重な環境資源である砂や小石を使わず,石炭灰,スラグ,コンクリート塊,生コン工場の洗浄排水,海水等を使った廃棄資源のみからなるコンクリート(以下,廃棄資源コンクリートと略記)の製造法を確立し,成長の早い竹を鉄筋に代わる補強材として用いる新しい環境配慮型構造材料の実用化に向けた検討を行うものである。 平成22年度は,セメントに代わり高炉スラグ微粉末,フライアッシュおよび脱硫石こう,天然骨材に代わり高炉スラグ骨材や再生骨材を用い,回収水で製造する廃棄資源コンクリートで問題が判明した耐凍害性や耐化学薬品性の改善のため,ポリマー混和材や高性能減水材を用いたビニロン繊維補強セメントモルタル製の永久型枠と廃棄資源コンクリートの複合効果について,AE剤による空気泡連行効果と併せ,既存ならびに本科研費で準備した装置を用い,本研究機関の卒業研究生とともに実験により検討した。 本研究成果として,廃棄資源コンクリートの耐久性で問題となる耐凍害性や耐化学薬品性の改善策として,ポリマー混和材や高性能減水剤を用いたビニロン繊維補強セメントモルタル製の永久埋設型枠の利用が有効であること,廃棄資源コンクリートや永久埋設型枠へのAE剤の使用効果も認められること,液体窒素による凍結融解試験は,窒素ガス吹付け時間に留意を要するが電力をほとんど使わず短時間で耐凍害性を評価できる優れた試験法となること等が確認できた。
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