ポリエチレンスクシネート分解酵素遺伝子のクローニングに成功した。In vitroでは、ポリヒドロキシブタン酸(PHB)分解酵素は、ポリエチレンスクシネート(PESu)分解活性を示すことが知られている。一方、ポリエチレンスクシネート分解酵素の構造は、PHB分解酵素と異なっており、また、PHBを分解することもできなかった。また、PESu分解酵素は、リパーゼとも異なるエステラーゼに属していることが判明した。 土壌環境中のPHBおよびPESu分解微生物群叢を解析した。その結果、お互いの微生物群は、完全に一致しないことがわかった。一方、真菌の分解群の多くは、一致する場合が多かった。細菌群においては、分解酵素および誘導メカニズムにおいて互いに著しい相違が認められた。 PHB分解細菌であるDelfitia acidovransによる分解酵素誘導に関与するオープンリーディングフレーム上流域の解析を行った。上流域の500塩基対において非タンパク質コード領域が存在することがわかった。この領域を今後詳細に解析する予定である。また、下流域には、分解物の取り込みに関与する可能性の高いトランスポートタンパク質のコード領域が存在した。 PHB分解真菌であるPenicillium funiclosumによる分解酵素誘導に関与するオープンリーディングフレーム上流域のゲノムDNA解析を行った。上流域に、調節タンパク質の結合領域と相同性のある配列を発見した。
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