研究概要 |
平成20年度の計画については(1)ナノサイズクラスター金属錯体の合成と構造、(2)ナノサイズクラスター金属錯体の反応性と化学修飾の検討を目指した。 (1)については種々の金,銀イオンを中心金属イオンにした錯体を得ることができた。得られた錯体の構造解析などを行った。その結果、組み合わせる配位子の置換基の種類によってクラスター錯体の構造が変化することを明らかにした。また、種々の対イオンを甲いて結晶化し,クラスター構造に与える対イオンの効果も検討した。得られた化合物の溶液内と固体でのサイクリックボルタンメトリーから酸化還元特性を明らかにし,また電解生成物の紫外可視吸収の測定などを行い,溶存状態の構造についての知見を得た。加えて,量子化学計算を用いて錯体の構造や電子状態,光吸収帯の帰属や酸化還元特性の解析を行った (2)については、得られた錯体と各種のグリニヤール試薬や有機リチウム試薬などを反応させて,配位した分子内塩RLの硫黄への付加反応について調べた。NMRや質量分析などの各種機器分析結果から、得られた反応物は非常に複雑な混合物であった。カラムクロマトなどでの分離を試みているが、現段階では単離に至っていない。配位子が遊離の状態での反応性よりはやや複雑な反応をすることがわかった。一方,先に配位子に化学的修飾を施すために、配位子の合成法を検討していたが、比較的容易に簡便で拡張性の高い合成法を開発することができた
|