研究概要 |
平成22年度の計画については(1)ナノサイズクラスター金属錯体の合成と構造、(2)新たな置換基Rをもつ分子内塩の合成とその錯体の合成、(3)ナノマテリアルとしての機能性の検討を目指した。ナノサイズクラスター金属錯体の合成と構造:昨年度からの研究内容に引き続き、目的(1)を達成するため,金,銀イオンを中心にして種々の金属イオンについての合成研究を行った。 新たな置換基Rをもつ分子内塩の合成とその錯体の合成:双性イオンRLの置換基がさらに多様なものについて合成法を探り,配位子とするために大きいスケール(1g程度)で合成できるかを調べたところ,比較的高い収率で配位子を合成することができた。合成できた配位子を用いて錯体の合成方法については前年度で得られた金・銀・銅錯体の合成方法を参考しつつ,金・銀・銅錯体等の合成を行った。さらに単結晶を得て構造解析を行うほか,様々な機器測定により溶液内構造や電子状態を明らかにした。 ナノマテリアルとしての機能性:上記のように得られた新しいナノサイズクラスター金属錯体について,各種の分光学・電気化学的測定を行い,電子状態について検討を行った。溶液内と固体でのサイクリックボルタンメトリーから,酸化還元特性を明らかにし,電解生成物の紫外可視吸収の測定などを行い,溶存状態の構造についても考察を行った。 今年度得られた本研究課題に関連する成果については,国内あるいは国外での学会に発表を行い,一部の結果については査読のある論文誌に投稿し,掲載されている。
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