研究課題
本研究の目的は、高純度の2層カーボンナノチューブ(Double Wall Carbon Nanotube, DWNT)を用い、高電気及び高光学的透過率であるDWNT透明導電膜の合成である。詳細には、DWNTとDNAの相互作用の解明と、DWNT分散溶液から透明薄膜を製造し、その性能を評価した結果を以下のようにまとめた。1)DNAを用いたDWNTの分散法の確立および相互作用の解明:single stranded DNAを用いてDWNTの単体状態までの孤立・分散に成功し、そのDWNTとDNAの相互作用を光学的に分析した。DNAのWrappingにより孤立かつ分散されたDWNT溶液からは、DNAからのチャジー移動によるouterチューブの光学シグナルがクエンチングすることに対してinnerチューブからは強いPLを確認した。2)CNTの表面欠陥によるDNA水溶液の分散状態:DNA溶液内でのAs-grownチューブと高温で熱処理したチューブの分散状態について光学装置を用いて比較検討を行った。結晶性の低いチューブの分散性は高結晶性チューブより二倍以上優れていた。その原因として、ナノチューブ表面に存在する欠陥がDNAと高い結合性を示すことを理論的に証明した。3)DWNT透明膜の性能評価:孤立したDWNT分散溶液からナノディッパーを用いて製造した膜は500回で透明度は80%以上で、電気伝導性は1.7KΩ/sqまで出ることを確認した。本研究では、DWNTとDNAの相互作用がSWNTとは違うことを証明し、CNTの表面に存在する欠陥の量がDNAとの相好作用に強く影響することを理論計算と実験で確認した。DWNT透明膜はSWNTより高い性能を見せており、最適化することによってITO代替物として高い可能性を示している。本研究の結果は、CNTのITO代替物以外にもバイオセンサとエネルギーデバイスなどの応用探索に役に立つことである。
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