研究概要 |
本研究の目的は、高純度の2層カーボンナノチューブ(Double Wall Carbon Nanotube,DWNT)を用い、高電気及び高光学的透過率であるDWNT透明導電膜の合成である。詳細には、高純度の2層カーボンナノチューブ製造と共にDWNT分散溶液から透明薄膜を製造し、その性能を評価した結果を以下のようにまとめた。 (1)N-メチル-2-ピロリドンを用いたDWNTの分散法の確立:N-メチル-2-ピロリドンへの添加、及び超音波と遠心処理を行い、上澄み(70%)を採取し、光学分析を通して強い光学シグナルからチューブは単体状態までの孤立・分散状態であることを確認した。 (2)DWNT入りのポリウレタン高分子成膜:そのDWNT分散液をポリウレタンに添加し、透明で高伝道・高熱伝導・高強度を示すポリウレタン膜に成功した。更に、孤立かつ分散されたDWNTのinnerチューブからは強い光学特性からチューブは高分子内に孤立分散状態であることが確認された。これは透明導電膜以外にも医療機器など様々な分野で応用可能性をもっている。 (3)製膜DWNT透明膜の性能評価:N-メチル-2-ピロリドン及びsingle stranded DNAの溶液にDWNTを添加及び超音波と遠心処理を行い、得られた溶液に対して、nano-dipperを用いてPETフィルム上に製造した膜は500回で透明度は85%以上で、180Ω/sq以上の電気伝導性を示すことを確認した。これは、innerとouterチューブには、金属チューブが約55%程度存在することをFast Fourier Transformimage processingを通して確認した。性能的には、充分にタッチパネルに応用できる数値であってITO代替物としてOLED及びLCDへの応用も視野に入っている。
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