本研究では、直径が数ナノメートルの半導体コロイダルドットの2次元結晶薄膜を用いて、軽量性・柔軟性を有し、かつ高いキャリア移動度を示す薄膜トランジスタを作製することを目的としている。 平成21年度は、コロイダルナノドットの2次元結晶薄膜を作製するために、水平付着法を用いて、CdSe/ZnSおよびPbSコロイダルナノドットの単粒子層薄膜をシリコン基板上に形成する実験を行った。 その結果、付着率85%以上のコロイダルナノドット単粒子層薄膜を形成することに成功した。形成された薄膜が単粒子層であることは大気中のサイクリックコンタクトモードによる原子間力顕微鏡(AFM)測定結果から明らかになった。また、真空中のノンコンタクトモードAFMにより、同単粒子層薄膜では個々のコロイダルドットが2次元的に密集して存在していることを示唆する表面凹凸像が得られた。さらに、同単粒子層薄膜を有機電界効果トランジスタ(FET)の絶縁層・半導体層界面に埋め込むことによって、FETのしきい値電圧にメモリ効果が生じ、その大きさから推定されたドット密度も最密充填密度に近い値が得られた
|