研究課題
金属ナノ粒子は、ナノテクノロジーを支える材料として、近年とみに注目されている。特に最近は粒径が揃い、かつ安定なものが得られるようになり、IT革命の推進役とされている。本研究者は、高分子や低分子の保護剤の存在下、金属イオンを還元する方法を用いることにより、種々の金属ナノ粒子の粒径および構造を制御することに成功している。金属ナノ粒子は、保護剤の種類や状態により、その機能、性質および触媒特性に大きな影響を受ける。一方、包接化合物は、その疎水的な空洞内に様々な化合物を取り込み、錯体を形成することで知られ、今日迄に酵素モデル、分離機能材料、触媒等として利用されてきた。本研究は、包接化合物を金属ナノ粒子の保護剤に用い、空洞内にゲスト分子を取り込むことで、金属ナノ粒子/包接化合物/ゲスト分子の三元錯体を形成することにより従来全く考えられていない、金属ナノ粒子/超分子複合体を創製することを目的とする。本年度は、シクロデキストリンポリマー(PCyD)を保護剤とする新規金属および酸化物ナノ粒子を創製し、これを実用液晶に安定に分散させ、高速応答表示素子の開発を検討した。その結果、ナノ粒子未添加の閾値電圧と比較し、PβCyD-TiO_2およびPβCyD-SiO_2ナノ粒子を添加した系では共に1.35Vから1.15Vへ15%ほど低電圧駆動を示した。これらの結果は、省電力駆動液晶開発の端緒を掴んでいると思われる。
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IDRC2009 (印刷中)
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