研究課題
生体/自然環境内および化学反応過程で生成する活性酸素などのラジカルの検出および定量化を目的として、電子スピン共鳴法(ESR)を測定原理として利用したラジカルセンサの試作を行った。ラジカルを検出するプローブとしてチップ上のマイクロインダクタを利用し、透磁率の変化をマイクロインダクタのインダクタンス変化として検出する回路を試作した。生体や水溶液中のラジカルを検出する目的で、100MHzから1800MHzの周波数帯の磁場をラジカルの励起に使用した。この周波数領域で動作する回路は、動作速度の観点からCMOS 0.25um以降のプロセスであれば実現可能であるが、CMOS 65nmテクノロジを利用することにより、高い自己共振周波数とQ値を持つパッシブ素子を使用して、広帯域で高感度なESR信号検出回路を設計した。本試作では、高周波磁場の位相変化の周波数特性からESR信号を検出する方式の回路2種と、953MHz(UHF帯RF-ID規格準拠)の電力損失を検出する方式の回路1種を設計した。プローブインダクタンスのサイズは小さいほうが測定対象の微量分析に有利であるが、回路特性上の感度は低くなる性質があるため、位相変化検出方式の各回路に対して、3nH, 6nH, 14mHの3種を用意し、合計7種類のセンサを1チップ上に搭載した。標準ラジカルとして市販されている試薬を使用して評価を行った結果、電力損失検出方式の回路により、チップ上の2マイクロリットルのラジカル溶液に含まれる10^12(spin)個以下の分子の検出が可能であることが示された。この分子数は、従来技術によるラジカル検出限界に近い値であり、マイクロリアクタやチップ分離・分析などの研究分野に新しい研究手法を導入することが可能となった。
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