需要の変動などにともない生産量は変動するが、それに対して設備は容易に増減することができない。このため、なんらかの要因によって設備の構成や配置を変更する場合、将来の復調の可能性も考慮して計画する必要がある。ただし経済状況により予算1は縮減傾向にあり、コスト制約は強く課せられる。単純にコスト最小化として扱うと、その時点での需要に応じた最小設備能力となる可能性があり、多期にわたって設備を使用する上で不都合が生じうる。従来の動的な問題では、各期の需要量が予測され確定的に与えれているものとしているが、実際には需要の変て動が予測測より多く生じる可能性もあるため、本研究ではコスト制約の下で生産能力最大化として設備の再配置を行うモデルとして扱っている。この問題に対し、遺伝的アルゴリズム、タブーサーチ、シミュレーテッドアニーリング等の進化的な計算法を適用し比較したところ、設備数が小さな問題ではタプーサーチが、また設備数が20程度以上になると遺伝的アルゴリズムが、それぞれ有効であることがわかった。また、独自のヒューリスティクスを用いた進化的なアルゴリズムを開発し、さらに優れた結果を確認した。しかしながら数値実験を重ねた結果、問題のデータ構造によって解法の効果に違いが生じることがわかった。設備数が20以上でコスト低減が現行コストの90%未満になると、従来法での初期解作成では実行可能領域の探索が進まない点や、生産統合関係の探索領域が膨大になり従来法の探索法では実用的な時間内に良好な解を見いだしにくい点がわかった。今後の課題としては、初期解作成法と生産統合関係探索法の改良、新たなヒューリスティクスの考案、複数の進化的な手法のハイブリッド化による新解法の開発、数値実験によるそれらの手法の効果の検証、問題設定の拡張などが挙げられる。
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