平成20年度において、プロ野球のサービスに対象を絞り、Fornellら(1996)によって開発されたACSIにおけるモデルで採用している尺度変数、潜在変数を参考にしながら、知覚サービス品質、顧客満足、顧客価値、顧客ロイヤルティの概念について、整理、再定義、体系化を行った。また、経験価値の概念の導入を検討した。調査に向けて、サービス品質(チームの成績、チーム・選手、球場設備・サービス、ファンサービス・地域貢献、ユニホーム・ロゴ)についての質問項目・尺度を決定した。同様に、総合満足度、経験価値、ロイヤルティ(応援ロイヤルティ、観戦ロイヤルティ)についても質内容・尺度を作成した。2009年1月に、調査会社を通じてインターネット調査を実施した。調査依頼対象について、プロ野球球団を応援していて、2008年シーズンに応援チームのホーム球場にて1回以上観戦したことがある人とした。サンプル数は、1球団あたり110-120、合計で1431となった。これらの調査データに基づき、サービス品質→総合満足度→応援ロイヤルティ→観戦ロイヤルティのパスを仮定した因果モデルの推定を行った。サービス品質→総合満足度の関係において、「ファンサービス・地域貢献」および「チーム・選手」が総合満足度に強い影響を与えていることが明らかになった。また、因果モデルの総合満足度の因子得点から、各球団の総合満足度指数の算出を行った。さらに、総合満足度指数と2008年の平均観客数との間の関連性を分析し、正の相関があることを示した。
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